弁護士に質問した私の日常の疑問

私の日常の疑問を、弁護士等の専門家に質問して、教えてもらったことを、自分の言葉に直して、簡単に自分なりに紹介(解説)しています。何か感想があれば、ご自由にコメントしてください。

靴の修理を依頼してきたが、修理後に修理代金を支払おうとしない客に対して、修理した靴屋の雇われ従業員は、客に“留置権”を主張して、「修理した靴」の引き渡しを拒むことができるか?<留置権、横領罪>

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<質問の概要>


“もしも” 靴屋で、

お客さんから依頼されて靴を修理したけれども、

お客さんが修理代金を払おうとせず「修理した靴返せ」と迫られた場合、

靴屋側は、 通常 留置権 に基づいて「修理したお客さんの靴」の、

引き渡しを、代金を支払うまで拒むことができますよね・・・



しかし、

その靴屋の店主が、

そのお客さんに対して留置権を主張することは全く問題ないと思いますが、


雇われの従業員であっても、

留置権を主張して「修理したお客さんに靴」の引き渡しを拒むことはできますか?



雇われの従業員が、

お客さんに対する留置権の主張することに関して、

店主から、その雇われの従業員に、

代理権 が与えられているとみなすことはできるのでしょうか?



以上、よろしくお願いします。

 

 


<弁護士回答の概要>


その靴屋の店主は当然、

お客さんに対して、お客さんが修理代金を全額払うまで、

留置権を主張して、

「修理したお客さんの靴」を引き渡すことを拒むことができます。



また雇われの従業員であっても、

お客さんに対して留置権を主張することが、

店主の意思に沿うのであれば問題ないと思います。



以上、参考までに。

 

 

<私の考え>


まず最初に今回の”質問・弁護士回答の概要”に関して説明する前に、

留置権とはそもそも何かについて少しだけ話しておきます。



一応、下に留置権の条文をはっておきます。



留置権

民法第295条

他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、

その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。


ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。




・・・簡単に言うと、留置権とは

他人の物の占有者(所有権はないが預かっている人)が、

その物に関して生じた債権の弁済を受けるまで、

その物を留置することができるという、

法で認められた権利
です。



今回の質問のケースにあてはめて説明しますと、

靴屋が、お客さんから靴の修理を依頼されて直した場合に、

靴屋側に「靴の修理代金をそのお客さんから払ってもらう」という権利が生じたので、

その靴の修理代金を“全額”お客さんから支払ってもらうまで、

修理したお客さんの靴を、

“お客さんから返還を求められた”としても、

靴屋が返還を拒んで持っていてもいいという権利です。



修理したお客さんの靴だけ返して、

修理代金の支払いだけしてもらえない、という事態を防ぐ
ために

認められた権利です。



お客さんに対して、

修理代金を払ってもらえるまで、

靴屋側の手元に靴を置いておくことにより、

心理的圧迫を与えて修理代金の支払いを促す効果が期待できます。



しかし靴屋側がお客さんから靴を返せと言われていて、

靴をお客さんに返すのを拒むのは、

例えお客さんが修理代金を支払う前であっても、

靴屋側に対し”横領罪”が成立するのでは?


靴屋がお客さんの靴を自分の所有物にしたのではないか?)


と思う人もいると思います。



けれども、単に、靴屋が靴の返還を拒んでいるだけであって、

その修理した靴を、実際に靴屋の所有物として扱っているわけではなく

お客さんが修理代金を払うまで店で「保管」していると通常みられますので、

「横領罪」の成立する余地はないと思います。



それで今回の“質問・弁護士回答の概要”についての私の意見ですが

今回いろいろと説明しました、

留置権”を主張できる人は、

今回の質問ケースのような場合であれば、

靴屋の店主だけでなく、店の雇われ従業員であっても、

お客さんに店主の代理として“留置権”を主張することが可能
だという、

弁護士さんの言ったことと同意見です。



普通に考えて、雇われ従業員であっても、

お客さんに対して留置権を主張できるとみなすのは、

仕事の効率上当然のことだと思います。



一々店主が留置権をお客さんに対して主張して、

返還を拒むのは仕事の実務上現実的ではないでしょう。



あと余談ですが、

留置権と似たような権利に、留置権以外に、

“同時履行の抗弁権”という権利があります。



「同時履行の抗弁権とは何か?」についての説明は省きますが、

その二つの権利の大きな違いは、

留置権“誰に対しても”権利を主張できますが、

同時履行の抗弁権は“契約相手のみ(つまり一人)”にしか権利を主張できないところです。



なんとなくでいいので、その違いだけは、覚えておいてください。



・・・今回の記事は以上です。

 

 

 

*** おすすめの本 ***

 

労役でムショに行ってきた!

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今回の記事で留置権という言葉が出てきたので、

「留置」というキーワードで検索して、

おもしろそうな本がないか探していたら、

(当然留置場に関する本ばっかり出てきました)

このような本を見つけました。



労役 というのは、

スピード違反や交通事故で罰金刑を受けた人が、

その罰金を払わない場合に、



(罰金=反則金ではありません、

罰金は普通に刑事罰受けたということで前科になります)


刑務所に入れられて、自分に下った罰金額分だけ働き終えるまで出してもらえない、

という罰金の支払い方法です。




この本の著者は、飲酒運転で罰金25万円の支払いを命じられましたが、

そのまま25万円払うよりも、自分は新聞記者だし、

労役に課せられて、その体験談を記事として書こう!

と思って、罰金を払わずに刑務所に2か月ほど入れられた人です。




そしてこの本を書いたらしいです。



まぁ当然ですが刑務所生活は予想以上に辛かったらしいです。



この著者に限らず、

いろんな犯罪や事件関係の本を書いている人で、

“わざと”スピード違反などの軽い罪で捕まって、

裁判を受けた経験を本に書く人もいます
ので、

この著者は、まだマシな方なのかもしれません。



労役について興味がある人にはおすすめの本だと思います。



あと、労役は、懲役刑とは違います。

労役は、懲役刑みたいに“何年”とか決められて刑務所で働かされるわけではなく、

自分に下った罰金額分働き終わったらすぐに刑務所から出てこれます。