弁護士に質問した私の日常の疑問

私の日常の疑問を、弁護士等の専門家に質問して、教えてもらったことを、自分の言葉に直して、簡単に自分なりに紹介(解説)しています。何か感想があれば、ご自由にコメントしてください。

コンビニ店員が、店頭で強盗やチンピラに脅されて、やむを得ず店の商品や金を勝手に渡してしまった場合、その店員は店に対する窃盗や横領などで、罪に問われるのか?<期待可能性>

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<質問の概要>


コンビニなどの店員が、

営業中に入ってきた強盗やチンピラに店頭で脅されて、

店長やオーナーの許可もとらずに勝手に、

店の金やら商品を差し出してしまった場合、

店員に対して窃盗や横領などの犯罪が成立しないのは

法律的にどのような理屈があるからでしょうか?




強盗やチンピラの要求にこたえなかったら、

店員に危害が加えられていたかもしれませんし、

やむをえない行為だと思うのですが・・・



もちろん脅してきた強盗やチンピラに強盗罪や恐喝罪が成立するのは、

当たり前の話ですが。



どうなんでしょうか?以上、よろしくお願いいたします。

 




<弁護士の回答>


理屈の上では、

店員に窃盗や横領の故意がない

(店の商品や金を、自分のものにするつもりがない)

または、期待可能性が無い、といえるからではないでしょうか?



店員が、店員自身の自由な意思に基づいて、

店の財産権を侵害したわけではないでしょうし、

ある程度店員の行為は仕方のないものと捉えられるので、

あえて立件されないのではないでしょうか。



以上、参考までに。

 

 

<私の考え>


コンビニ店員が店頭で、

強盗に包丁をつきつけられたり、

チンピラに胸倉をつかまれて、

「店の金や商品渡せ」と脅された時に、

怖くて仕方なく、

店長やオーナーの許可をとらずに勝手に、

その要求に応じるのは、


一応店員は窃盗や横領などの犯罪を犯したことにはなるのではないか?

と思ったのですが、、、、



しかし警察呼んだら、実際には脅してきた人(強盗やチンピラ)だけが捕まり、

店員は一切罪に問われることはないので、

それはどういう理屈があるからなのかと、

疑問に思って質問してみました。




それで弁護士さんは、

「窃盗や横領の故意がないから」とも言っていましたが、

私としては、どちらかというと

「期待性が無いから」という理由の方が強いと思いました。



それで “期待可能性がない” というのは、

日本での犯罪の責任阻却事由の一つで、

“行為者が、行為の当時、適法行為をすることが期待できない”場合に、

行為者に責任を追及できない(簡単に言うと、犯罪をしても無罪になる)、という考え方です。






この”期待可能性がない”という考えが生まれたきっかけとして、

昔ドイツで、

馬車の操縦者が雇い主に、何回も、

「馬車の馬が、暴れ馬なので、

このままだと、いつか操縦中に暴れだして、

なにしでかすか分からないので馬を取り替えてほしい」

と頼んでいたにもかかわらず、

雇い主が、

「それ以上俺に何か言ったら、解雇する!」と言って、

馬車の操縦者の頼みを断り、

仕方なく馬車の操縦者がその馬を使用していたところ、

走行中に馬が暴れて、通行人に負傷させてしまった事件がありました。



それで裁判で、

普通なら馬車の操縦者に業務上過失傷害罪が成立するところ、

「馬車の操縦者が、雇い主に逆らうことができないので、

馬を取り替えなかったのはやむをえないこと」


と判断され馬車の操縦者が無罪になったのです。

 

 

 

この事件は、“期待可能性がない”という考えが、

重視されたきっかけとなり、

この事件の判決の影響を日本の刑法も受けて、

この考え方を積極的に取り入れています。




この考え方から、今回の質問事例で言えば、

コンビニ店員が強盗やチンピラに脅されて、

勝手に自分の判断で、

店の金や商品を渡してしまうことは、

ある程度やむをえないことだとみなされることでしょう。



もし渡さなかったら店員自身が、

強盗やチンピラに怪我させられてしまう可能性も高いですし、

“店の商品や金を渡さない”といったことは期待できないでしょう。




そういった考えが日本では、それなりに根付いていますので、

実際に警察は渡してしまった店員の行為まで、

わざわざ咎めたりはしない(立件しない)のでしょう。





・・・・ということで今回の記事は以上です。

 

 

 

 

*** おすすめの本 ***

 

精神障害者をどう裁くか (光文社新書)

精神障害者をどう裁くか (光文社新書)

 

 


この本も期待可能性と同じく、責任能力について語った本。

よく、犯行時に精神障害があったので責任能力がなく

罪には問えなくなるってことがあります。




というか殺人とかで裁判にかけられた場合、

弁護士が被告人をかばいきれないと思った場合

大抵精神病がどーのこーの主張してきます。




とりあえずこの本は精神病で無罪となる規定である刑法39条と、

罪には問えなかった精神病の人がその後どう扱われるのか、


ということの基本的な説明をしています。

入門書って感じですかね、結構いいところついてますね。



精神を病んでいるからっている理由で殺人を犯しても罪には問われず

また社会にそのまま放たれるわけではなさそうですね・・・